アメとムチの正しい使い分け方!やる気をアップさせる方法!

2021年10月8日

褒めて伸ばしたり、叱って伸ばしたりと古来よりアメとムチを使って人材育成をする場などで用いられている手法です。

しかし、どういったときにアメを与えて、どういったときにムチを振るうか、本当にちゃんと使い分けれていますでしょうか?

今回の話は、人に対しての正しい使い方だけでなく、自分に対しての成長にも使えますのでぜひ覚えて下さい!

アメとムチの使い分け方!

アメとムチを使っているという人でも、実は効果の薄い方にアメを与えたり、ムチを振ったりしている人がいます。必死にアメとムチを使っていたとしても、無駄にアメをあげていたり、逆効果のある叱り方になっていたりするかもしれません。

先に結論

アメを与えるタイミングは、なにかの目標を達成するために、行動を増やすときに使います。逆にムチを使うタイミングは、何かの目標を達成するために、行動を減らすときに使います。

どうでしょう?ピンと来ますでしょうか?

増やす時?減らす時?と思った方はそれぞれ、具体的な説明と面白い研究結果の凡例を交えて説明したいと思いますので続きも読んで見て下さい。

アメ:行動を増やした時は脳の報酬系を刺激

アメを与えるべき場面は、行動を増やす場合に行うのが効果的です。

例えば、何かを覚えるために勉強する時間を1時間増やすとか、筋トレでメニューを増やすとか、いつもの行動を長くしたり、増やしたりする場合にはアメを与えて、脳に報酬がもらえると刺激を与えてあげると効果が上がります。

つまりやるべきことをやったり、出来なかったことを達成できるようにしたり、今までやってきた行動をより増やす、そういったことが行動を増やすというタイミングです。

ムチ:行動を減らす時はバツを与えて刺激

ムチを与えるべき場面は、行動を減らすべきタイミングで、達成できなかったときにペシっと行きます。

例えば、間食の階数を減らすとか、ゲームをやりすぎていた時間を短くするとか、やってはいけないことをやらないようにするなど。こういったことが守れなかったときにバツが課せられると効果が上がります。

なぜプラス行動はアメでマイナス行動はムチ?

実際にアメとムチを使う場面はわかりました。これらを裏付けるある実験結果があります。

アメ:とある病院での手を洗うかどうかの実験

手洗いというのは、インフルエンザなどの感染症などの予防として効果がありますが、意外とやっていない人が多いです。それは病院の職員さんにも当てはまっています。そこで、職員に対して、なんとか手洗いをさせようとして、ある2通りの実験が行われました。

実験1:警告サイン・注意喚起を促す

手洗い場に、手を洗わないと感染症が蔓延する可能性があります!などの張り紙を見たことはないでしょうか?手を洗わないと、たくさんのネガティブなことが起こります!やめましょうという感じのものを張り出すことで、手洗いをする人が増えるかどうか試して見ました。

が、この方法ではほとんど効果が上がりませんでした。

さらに監視カメラを設置して、洗っているかどうかを見ていたのですが、ちゃんと洗っているかどうかを確認していると公表しても、10%ほどしか増えなかったらしいです。これは監視カメラで見てることを公表する前後でも変化がなかったそうです。

手洗いの重要性を知っているはずの、医療従事者の方々ですら、警告サインによる効果は10%ほどしか効果がありませんでした。しかも監視カメラで見られていたとしても効果がありませんでした。

実験2:ポジティブサイン・ご褒美!

2つ目の実験は、先程とは逆のポジティブサインというものを設置しました。これを4週間実施したところ、なんと手を洗う人が90%まで増えるようになりました。

どのようなものかというと、メッセージが表示される電光掲示板を設置して、手を洗うと、「(ピコーン)Good Job!」と表示されるものを設置しただけです。

このような子供の遊びのようなもので手を洗う回数が増えるには、理由がありました。
脳というのは、何かを行ったときに嬉しいこと・楽しいことがあると、無意識にそれを繰り返す修正があります。手を洗って軽快な音とGood Job!と表示されることに、単純ではありますが、脳が刺激を受けるわけです。そうすると無意識に同じことを繰り返すようになり、手を洗う回数が増えるようになります。

実験結果の考察

この実験の面白いところは、医療従事者が手洗いが重要だということがよくわかっているはずなのに、それが出来ていないという点です。自分たちに置き換えると、健康的な食生活を送った方がいいだとか、勉強したほうが良いとか、あれをやれば儲かる、これをやったほうが自分が成長する、など頭ではわかっているけどやれていないというようなことです。思い当たることがないでしょうか?

このような何かを追加(今回だと手を洗う)ということに、本当に簡単なご褒美(Good Job!)を与えるだけで脳は喜びを覚えます。これは先程の、何か行動を増やすときにはアメが重要だということを裏付けています。

そんなに効果でる?

そんな得もしないし、電光掲示板に褒められるだけで効果ある?と思う人の中に、スマホゲームを遊んでいる人はいないでしょうか?ゲームも(プロは除く)基本お金にはなりませんが、ついつい遊んでしまいます。これはクリアしたときの演出や、達成した報酬などを繰り返し受け取るたびに、脳が快感を覚えているからです。そのためもう一度遊びたいと思ったりしてしまうわけです。

ゲームに限りませんが、身近なところでも同じようなことが起こっていないでしょうか?

ムチ:マイナス行動時がムチなわけ

先程の実験でご褒美があるだけで効果があるなら、それだけでいいじゃないか!と思うかもしれません。しかし、いくつかの例を上げるだけでまずいなとわかります。減らす行動に対しての最高のご褒美を考えてみると単純明快です

マイナスする行動一番のご褒美
間食を減らす間食する
禁煙するたばこを吸ってOK
パチンコをやめるパチンコを打つ
お酒を控える好きなだけ飲む!

ちょっとかいただけでだめなのがわかりますね。何かを我慢しようとしている人にとっては報酬というのはほとんど効果がありません。

もちろんアメを与えて効果が出る人もいますが、マイナス行動に関してはムチを行った方が3倍ほどの効果が出ているという研究結果が出ているそうです。必ずしもイコールの関係ではないですが、比較すると以下のような場合、1000円没収するほうが効果があるということです。

あることがうまくいくと1,000円あげます<なにか失敗すると1000円没収します

もちろんなんでもかんでもネガティブ方向に持っていくと良くはないですが、ここぞの場合はネガティブ方法でアメムチを使い分けると効果的です。

アメとムチの用法用量はどのくらい?

では実際に使う際、どのぐらいのアメとムチを使えばよいかですが、注意すべきはムチの使い方です。

ムチに関しては、ほんのちょっぴりでも十分効果があります。ここでアメとムチを使った面白い実験結果があります。

賞金グループと罰金グループの正解率

簡単なテスト(ヘッドフォンをして左右どちらから音がなったかや、画面の左右どちらが点滅したか)に連続して答えるようなテストを実施しました。

集まった人を2グループに分けて、正答率に差が出るかの実験を行いました。各グループの違いは、

  • 正解するたびに5セントの報酬がもらえる
  • 失敗するたびに5セントの罰金を支払う

という条件の差を設けたところ、罰金を支払う、つまりムチを振るった方が正答率が高くなりました。これは絶対に間違わないようにすると!というような注意する力が報酬を貰える方より高くなっているということがわかります。

間違いを減らそうとすることに関しては効果的なのですが、このムチが痛すぎると効果が薄れてしまいます。また、ちょっとのムチでもしっかりと効果が現れるのです。

ネガティブなものに対しては過剰に反応してしまうのが人間

バツを与えたほうが効果的なのは間違いないのですが、ほんのちょっぴりでも十分効果があります。

・スマホを1時間封印する
・お風呂上がりのアイスを控える
・普段やらない場所の掃除をする

など、自分にとって少し抵抗のあることをするのが良いです。注意したいのは、ムチ自体がご褒美にならないようにして下さい。上の例だと、掃除するのが嫌だったけど、なんかきれいになるの楽しい!となってしまったら、別のムチに切り替えて下さい。

まとめ

アメはプラス行動、ムチはマイナス行動、これが鉄則です。日常生活でやっている活動にアメを添えたりするだけで生産性が一気に上がったりしますので、これらを意識して生活するだけで、ガラリと変わることも大いにありますよ。

また、他の人に対してのアメムチの使い方が逆になっている人は今すぐ直しましょう。飲み会に誘っているのが人にとってはムチの場合もあります。そんなことしなくても、「Good Job!」だけでもしっかり効果は出るんです。